令和3年度の試験は残念な結果になりましたが、早速、合格が出来なかった科目に関して学習を始めています。
今回は、私が好きな分野ですが過去問に手が回らず、あと少しのところで不合格となってしまった企業経営理論について、令和3年度の一次試験を見直しながら理解を深めていきたいと思います。
本記事は下記記事の続きになります。
【中小企業診断士】令和3年度試験の振り返り|企業経営理論① 【No.11】
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一般社団法人中小企業診断協会:中小企業診断士試験問題
第9問
正解:ウ
これは事業承継の問題です。
第10問
正解:オ
これは知識創造理論に関する問題です。
知識創造理論とは、
SECIモデルとしても知られる、野中氏が提唱した理論です。
暗黙知とは、
言語化できない、または、言語化が難しい経験や体験などに基づく知識です。
形式知とは、
言語化された、または、言語化可能な技術や手順などを示した知識です。
共同化とは、
経験を経験として伝えるプロセスです。
表出化とは、
経験を出来る限りの範囲で言語化するプロセスです。
連結化とは、
言語化されたコトをさらに組み合わることで新たな形式知を得るプロセスです。
内面化とは、
新たな形式知が引き継がれることで暗黙知とし取り込まれるプロセスです。
第11問
正解:ウ
これは特許戦略に関する問題です。
日本の特許法は「先願主義」を採用しています。
先願主義とは、発明した内容を特許庁に対して、先に出願したモノにその権利を与えることです。
因みに、同日に同様の発明が出願された場合は、両者で協議のうえで、どちからがその権利を得るか、または、どちらも譲らないケースにおいてはどちらも権利を得ることが出来ません。
第12問
正解:オ
これは情報財に関する問題です。
情報財とは、
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などに収められる情報のうち、デジタル化でき、その価値が知的財産法の下で守られるものを示す。
情報財の特徴としては、インタ―ネットを使用することで流通コストはほとんどかからない。
とはいえ、情報材は、広告収入以外で輸入を獲得することは不可能にはなりません。
情報財は、先行者利益としてスイッチングコストを生み出して、顧客を囲い込む方策は有効である。
情報財は、顧客の求めるレベルに応じて価格差を設定することは可能である。
情報財は、顧客数が増えるほど、認知度や権威性を獲得できるため、顧客数の増加により個々の顧客の効用が低下することはない。
第13問
正解:ア
これはCSRに関する問題です。
CSRとは、
Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任のことで、社会の中で企業活動を行ううえで、つねに社会の利害関係者(ステークホルダー)との調和を図りながら、正常な経済活動のみならず社会的に影響を及ぼす企業活動全体に対して責任を果たすことであるとした考え方です。
ISO26000とは、
社会責任に関する国際規格(International Organization for Standardization)であり、企業などの営利組織だけでなく、学校、病院、国際機関、政策など、幅広い組織を対象にしている。日本では、JIS Z26000として示されている。
第14問
正解:ア
これはリーダーシップ論に関する問題です。
バーナードの示した権威とは、
権威は組織のコミュニケーションにおいて、執行される権限であり、常に上級職からの指示として命令系統を通して部下に伝えられる。
またこのとき、上司からの命令を、部下が受け入れて初めて権威が確立される。
そして、この権威を確立するための要件として、①命令が理解できること②組織の目的に矛盾していないこと③個人的利害が両立すること④精神的、肉体的に実行可能であることとされている。
その他にもバーナードは以下のような見解を示しています。
バーナードによると組織において重要な3要素
・コミュニケーション:上司と部下の信頼関係の重要性
・組織目的:目的と手段が齟齬なく適合していることの重要性
・貢献意欲:部下のモチベーションを満たすだけのやりがいと報酬の重要性
バーナードによるリーダーシップにおける2つの重要な側面
・道徳的側面:上司と部下良好な人間関係が築けていることの重要性
・技術的側面:上司自身がスキルを十分に備えていることの重要性
第15問
正解:オ
これは組織運営、組織構造に関する問題です。
チャンドラーが提唱した「組織は戦略に従う」とは、
組織に会った戦略ではなく、戦略に基づく組織作りをする必要性を述べています。
企業としてのビジョンがハッキリしていれば、自ずと戦略は定めることができます。
故に、その戦略に基づいた組織作りを行う必要があるということです。
事業部制組織とは、
決裁のスピードアップを目的に、事業部と呼ばれる管理単位をトップマネジメントの直下に編成し、各事業部に権限を委譲された組織です。
機能(職能)別組織とは、
組織構造としては、最も多いと考えられる。
各部が存在し、その下に各課、各係で構築される組織である。
例)製造部 → 製造一課 → 製造一係など。
また、各事業部の決裁権や経営戦略は、トップマネジメントが担う。
カンパニー制組織とは、
事業部制組織の権限をより集権的にした組織です。
カンパニーごとの採算性を強化し、一企業としても機能できるレベルまで構築された組織体制です。
しかし、あくまでも一企業の組織なので法人格は有しない。
プロダクト・マネージャー組織とは、
ひとつの事業ではなく、より狭い、ひとつのプロダクトに焦点をあて、このプロダクトを中心に機能(職能)別組織を横差ししたような組織です。
最終的な販売までも考量する必要があるため、製品設計・製造・販売までを一貫して管理する組織です。
持株会社とは、
他社の株を保有している会社で子会社を持つ、親会社という位置づけになります。
この中にも自社でも事業を営む「事業持株会社」と子会社の事業戦略を掌握するのみの「純粋持株会社」があります。
第16問
正解:イ
これはリーダーシップ理論に関する問題です。
E.P. ホランダーの特異性・信頼理論とは、
リーダーは、部下(フォロワー)からの信頼関係において、リーダーシップを発揮できるという理論です。
信頼関係を獲得するために、リーダーはフォロワーの属性や既存のカルチャーを認識・理解することで同調(同調性)を向上し、さらに、リーダー自身の能力を示すこと(有能性)が必要です。
その上で、部下をリーダーを信頼し、指令に従うという考え方です。
フィードラー理論(F.E.フィードラーの研究)とは、
リーダーシップには、人間関係志向とタスク志向があるとし、その人間関係志向型とタスク志向型をLCP尺度という手法で区別しています。
この分類された2つの志向型は、ケースバイケースで最適なスタイルが異なるとされています。
当該ケースは、企業の組織として、「好ましい状況」、「普通の状況」、「好ましくない状況」の3つに分類されます。
好ましい状況及び、好ましくない状況では、タスク志向型のリーダーが適切で、普通の状況では人間関係志向型のリーダーが適切とされています。
このケース分けは、「リーダーとチームの信頼関係」、「タスクの明確性」、「権限と報酬度合い」を定性的に評価し、その評価に応じて、好ましい状況~好ましくない状況を分別しています。
ミシガン研究(リッカート(R. Likert)の研究)とは、
初期は、「独善的専制型」、「温情的専制型」、「相談型」、「参加型」の4つの分類で示されていました。
後期では、「従業員志向型」、「生産志向型」という2つの分類で示されました。
オハイオ研究とは、
「構造造り」、「配慮」の2つに分類で示しました。
「構造造り」とは、目標達成を目指す中で、リーダー部下の役割を定義し構築すること、「配慮」とは、部下の感情への気配りやアイデアの尊重など、職務上の関係をもつことになります。
SL (Situational Leadership)理論(状況的リーダーシップ論)とは、
部下の現状に合わせて、実施するリーダーシップの方法が異なることを示した理論です。
分類されるリーダーシップは4つの状況に合わせます。
その4つの状況とは、
①教示型は、新入社員向けとなり、業務の具体的な指示を行い、取り敢えず業務を遂行できるようにします。
②説得型は、業務をある程度理解してきた部下に対して、本人の納得いく形で業務を落とし込み、次のステップに進んでもらうためのサポートを行います。
③参加型は、直接的な業務指示というよりも判断する場面において、意思決定のサポートをします。
④委任型は、中堅社員向けで、能力も意欲も十分であることから部下に委任します。
追加学習
アイオワ研究(レビンのリーダーシップ類型論)とは、
リーダーシップのパターンを3つに分けて評価した。
①民主型は、リーダーは援助し、集団で討議し決定する、②独裁型は、リーダーが全てを独裁的に決定する、③放任型は、全てを個人の裁量に任せる。
これらの分類の結果、民主型が最も優れていると結論付けています。
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