皆さん、ご存じでしょうか?
社会人の勉強時間が1日あたり平均6分しかないことを…
この衝撃的な数字は、圧倒的なバズワードとりなりました。
因みに、この記事をお読みなるあなたは、毎日勉強を何時間していますか?
むしろ、勉強していますか?
本記事では、その実態調査の内容と国は今後の社会人教育についてどの様な施策を考えているのかを記載します。
そして、国のリカレント教育(生涯学習)の思惑から、大人の学び直しとは?社会人の資格試験とは?についても考えを記します。
社会人の勉強時間6分問題とは?
様々なSNSやwebサイトで紹介されているのでご存じの方も多いと思います。
このデータの基となっているのは、総務省統計局が発表した「平成28年社会生活基本調査-生活時間に関する結果-」に記されている統計データです。
この資料の中で、一般的に社会人に該当する25歳から64歳の年齢層の週1日あたり勉強時間が6分~7分であると記されています。
正確には、勉強時間という項目はなく、「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」の項目が6分~7分であることが分かります。
確かに、勉強時間が6分のみと見るとインパクトのある数字に見えますが、果たして学びとういう観点からみると、その時間を真に受けていいのかと疑問が湧きます。
因みに、「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」に含まれる学習の種類は、以下の通りです。
- パソコンなどの情報処理
- 英語
- 芸術・文化
- 人文・社会・自然科学
- 商業実務・ビジネス関係
- 介護関係
- 英語以外の外国語
またこのデータの項目の中に、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」の項目も存在します。
そして、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」の時間は25歳から59歳まで59分~147分の時間を使用ていることが分かります。
では、テレビを視聴したり、ラジオを聴いたり、新聞や雑誌を閲覧することを勉強とハッキリ切り離すことは可能なのでしょうか?
テレビやラジオには教育的な番組も多く、政治経済、歴史、科学技術を知るうえで、娯楽ではない学びを与えていると考えています。
確かに新聞は、このインターネット時代において、情報速度・鮮度は見劣りしますが、政治・経済を知るうえでは今でも情報源になっています。つまり、”まだ”有効な情報媒体だと考えいます。
また、雑誌にも多くの専門誌が存在し、衣食住のトレンドから歴史まで知ることができ、十分に学びを与えてると考えています。
そして、何より一般的に学びの代表とされる「読書」もこのカテゴリーに該当すると思うので、やはり、学びであることは疑う余地がないと思います。
加えて、学びに該当しそうな項目としては、「趣味・娯楽」の項目があります。この項目も40分~72分の時間を割かれているので、学びの時間としては十分だと思います。
ご存じのように、e-spotsと呼ばれる市場は、以前はただの娯楽でしかなかったゲームが、クリエイターだけでなくユーザーまでがビジネス参画するほどにまで成長・進展した市場です。
つまり、これからは今までの学びの固定観念を捨てる必要があるのかも知れません。
社会人の勉強とは、資格を取得すること?
では、勉強とは何でしょうか?
国語辞典には、下記のように示されています。
「1)学問や仕事にはげむこと。2)安くしてもモノを売ること。」
もし、学問にはげむことを勉強とするのであれば、実際に行っている人はほとんどいないのではないでしょうか。それが出来ているのは、大学の教授や企業の研究者くらいだと思います。
つまり、勉強という意味では、社会人が費やしている時間はもっと少ないと思います。
では、いま一般的に勉強とは何か?というと、
おそらく資格を取るための勉強、つまり試験に向けた学ぶことが勉強であると想定されていると思います。
これは、ある意味、日本人の教育環境がそうさせているのだと考えていますが、資格試験に合格するための学びのみが勉強にカテゴライズされたため、勉強時間が6分という認識になったのではないかと考えます。
従いまして、当該ケースにおいては、アンケートの設問方法も含めた、正しい解析が必要であると考えています。
しかし、日本の社会人の学校への再入学などによる学びの時間がOECDの中でも少ないのは事実としてあります。
つまり、総合的に考えてみても、「勉強すること=資格をとること」ではないと言えます。
そこで、次にリカレント教育について考え方をまとめました。
リカレント教育(生涯学習)とは?
まず、リカレント教育とは何かを参照を以下に示します。
リカレント教育(recurrent education)とは、主に学校教育を終えた後の社会人が大学等の教育機関を利用した教育のことを指す。生涯教育を受けて発展した概念であり、職業能力向上となるより高度な知識や技術、生活上の教養や豊かさのために必要な教育を生涯に渡って繰り返し学習することを意味する。これには、仕事に就きながら必要な知識や技能を習得する教育訓練を行うOJT、仕事を一時的に離れて行う教育訓練(OFFJT)も包含されている。
Wikipediaより
つまり、簡単に言うと社会人の学び直しです。そしてこのリカレント教育は、国策としても文部科学省、厚生労働省、経済産業省を含めた省庁が働きかけ、一定の予算もつけてシステムの促進を図っています。
先ほども言及しましたが、下記のデータがOECD各国のリカレント教育の現状です。
このデータのソースは、文部科学省の大学等における社会人の実践的・専門的な学び直しプログラムに関する検討会(第1回)の配付資料である「資料3_社会人の学び直しに関する現状等について」の中に記載されています。
このデータからも一目瞭然で、日本人の学び直しが極端に少ないことが事実として認識できたと思います。
そして国は、このリカレント教育を通じて地方活性化の思惑を持っています。つまり、都市部から地方へ人の流れを新たに作り、地方の人材不足解消につなげることを考えているようです。
国が目指すのは、出口一体型の教育です。国はある程度のお金(税金)を投入するので、その費用対効果、大きく言えば国のGDPを押し上げることに繋がるよう促したいと考えています。
しかし、地方から都市部に集まった人材をリカレント教育で地方に押し戻すには、少し力不足に感じます。
近年のweb系の仕事は場所を選ばず、個人でも業務をこなせるほどになってきています。現に、そういった職業のスキルを身に付いた人材は住む場所を選ばずに働いています。もちろん、収入がある程度確保されるまでには一定の時間と能力が必要となるのも事実です。
そして、ここで考えなければいけないのが、新しいスキルを取得するべき年齢層です。
30代でリカレント教育を受ければ、そこからの移住は可能だと思います。しかし、それが40代ともなればそうもいかないはずです。
スキルを習得しても、おそらく家族も持っており、子供も中高生くらいであると想定できるので実際は移住が難しいと考えます。
故に、リカレント教育と地方活性化はリンクさせない方が良いと考えています。
また、このリカレント教育が抱える課題として、「時間がない」「お金がない」「社会的システム・思想が未成熟」などが挙げられています。
時間については、土日などの休日を活用し、お金については、国の補助を投入すれば解決できることが考えられますが、即解決が難しいのは、企業の教育に対するリテラシー向上です。
この部分の統計データを以下に示します。
大学などで学ぶことを定めていない企業が68%であるが大多数ですが、原則学ぶことを認めていない企業が11%もあります。また、認めていない理由は、本業に支障をきたすが56.6%という結果です。
企業が副業を規制していることともリンクしそうなデータになっています。おそらく、今行っている本業が未来永劫つづくと考えている経営者が多いことに結び付き、そして時代が大きく変革していることに対する肌感の鈍さを感じさせられます。
この「リカレント教育」については、国の進捗も含めて今後もウォッチしていきたいと思います。記事化できそうなら改めてアップしたいと思います。
まとめ
結局のところ、社会人の勉強時間6分問題を通して「学び」とは何かを考えることに繋がったと思います。
そしてそれは、学び続けることの意味や意義は何かと、それ自体を考えることも重要であると考えています。人によっては、知的好奇心を満たすため、収入をあげるため、必要に迫られているためなどなど、様々な理由が挙げられると思います。
私個人としては、学びとは、資格を取るためでも、マネタイズを行うためでもなく、「善く生きる」ために行うことだと考えています。
しかし、現在資格試験のために勉強をしている自身の経験から、資格試験は勉強の習慣化にとても良いキッカケを与え、より学ぶ意欲を掻き立てる効果があると実感しております。
この勉強の習慣化は、もちろん日々の業務にも反映させることを可能としますので、本当にオススメします。
そして最終的には、死ぬ間際に「善く生きた」と自分を納得させるために学ぶのだと考えています。
最後に、お伺いします。
あなたは、1日何時間、勉強していますか?
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