【書籍】2030 経営ビジョンのつくりかた :VUCA時代を乗り切る【知識拡充】

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前説

今回はVUCAをキーワードとした書籍です。

本書『2030 経営ビジョンのつくりかた :VUCA時代を乗り切る』は、コンサルティング企業である日本総研の方々によって執筆されてた書籍です。

今回はVUCAというキーワードで書籍を探しているなかでヒットした書籍で、2030年の経営ビジョンのつくりかた、特に中計に関する項目があったので拝読いたしました。

折角なので日本総研のサイトを少し拝見させて頂きました。

経営理念に、「知識エンジニアリング」活動によるお客様価値共創を掲げている企業でメーカーの思想が強いコンサルティング企業であるように感じました。

さて、本書の中身に入っていく前に、著者と目次をみてみます。

そして、本書の著者は下記の通りです。

時吉 康範 氏
日本総研未来デザイン・ラボプリンシパル。化学メーカー勤務後、日本総研入社。2015年未来デザイン・ラボ創設。専門は製造業の技術経営・新規事業

坂本 謙太郎 氏
日本総研未来デザイン・ラボシニアマネジャー。2001年以来、幅広い業種で経営トップ/経営企画を支援。経営戦略、ビジョン、中計、M&A、新規事業開発、海外戦略等のテーマを手掛ける

次いで、本書の目次は以下の通りです。

第1部 何をすべきか、何を知っておくべきか
 第1章 VUCA時代におけるビジョンの意義
 最2章 ビジョンをめぐる経営企画部門の悩み
 第3章 中計という不毛な定例行事
 第4章 ビジョン・中計策定でつまづくポイント
 
第2部 どのようにすべきか
 第5章 ビジョン策定の体制とスキル
 第6章 ビジョン策定のステップ
 第7章 ビジョン策定方法としての未来洞察
 第8章 未来を議論する場を作る

第3部 ケーススタディ
 第9章 ビジョン・戦略策定と未来予測・洞察の活用

中説

それでは早速、本書の内容についてです。

中期経営計画やビジョンを策定するうえでのマインド

まず、本書読んでみて感じたコトは、何を行うにせよマインドが重要であるということです。そして本書で語られる納得や共感したインパクトのある文言を示します。

 

『もし、未来に向けた挑戦や変革を社内外に示す意思がないなら、ビジョンをわざわざ作らなくてもよいのではないか?』

私は本書を読んで初めて知ったのですが、様々な企業で当然のように定めている中期経営計画ですが、そもそも作成しなければならいというルールは特になく、1970年代にその文化が始まったとされています。

そのキッカケの1つの事例として、事業の急激な伸長によって社内が疲弊する中で、労働組合と折り合いをつけるために中計を作った企業もあったとのことです。

なので、一部上場企業だからといって、中計を発表する必要はないのです。

では、なぜ中計を計画するのか、それは社員の意思統一を図るためです。しかし、その意思表示を行わないのであれば、中計を作成する必要ない、ごもっともだと感じました。

事実、中期経営計画を定められえた期間で出すのかを明確に答えられる経営者は少ない。もし作る必要がないのであれば、時間の無駄であると述べています。

確かに、私の所属している企業は3ヵ年計画で中計を作成していますが、なぜ3ヵ年なのかは私はわかりませんし、経営者も理解しているのかはわかりません。

私の記憶では、以前は10年という長期の計画を立てていたが、時代の変化が激しいなかで見直しを頻繁に行う目的で3ヵ年になったと聞いたことがありますが、真偽は不明です。

しかも内容は、業績が単純に右肩あがりであることを示すだけとか、なので倒産することはないと示すだけとか、成長可能性だけを示し買収防衛策のための株価誘導ことが目的とか、数値目標は高過ぎずちょうどよく低いので上方修正までが予定調和だとか、大きな経営戦略なはずの事業撤退については言及されないこと、が記載されていることになるそうです。

 

『下請け気質が抜けない製造依存型の事業を長く続けており、自分たちでベーシックな業界予測を立てたこともない』

本書の「あとがき」にも記載されていましたが、「これってうちの会社ことですか?」がまさしくこの文章に現れています。

この文言には、私自身も共感しました。

また、こういった企業はコンサルの視線から見て、明らかに、「経営陣が、なるべく手間をかけずに楽をして終わらせよう」というネガティブな印象を受けるそうです。

取り敢えず言えることは、自社の事業戦略は自責で立てる必要があり、このことはコンサルにお願いする以前のマインドの問題であると感じました。

またこういったケースにおいては、「リスクを最小化させようとして、かえって苦労する」ことになるそうです。

ビジョン策定方法としての未来洞察

次に、本書の主題でもある経営戦略の立て方ですが、そのフロー図は下記のようになるそうです。

①未来イシューの設定
②社会変化仮説の設定
③機会領域の発見
④未来像の戦略示唆の抽出

①未来イシューの設定では、

情報収集や解析にPEST分析やSWOT分析を用いるそうです。このとき、バズワードに躍らせれてはダメとのことです。

②社会変化仮説の設定では、

新規技術や社会情勢などを簡略的に一枚紙にまとめてストックしておくこが重要だそうです。この一枚紙をスキャニングマテリアルと呼ぶそうです。そして、このスキャニングマテリアルを活用して、今後起こりうる社会変化の仮説を設定するそうです。

③機会領域の発見では、

①と②の掛け合わせにより、つまり、横軸:未来イシューで縦軸:社会変化の仮説のマトリックス図で、そこから目指すべきゴールである機会領域に抽出を行うそうです。

④未来像の戦略示唆の抽出では、

抽出した機会領域を想定未来と定めて、そのポイントからバックキャストで戦略を立てるそうです。

ここでポイントなのがバックキャストであるとのこと。

バックキャストとは、目標とする未来を先に描いた状態で、その未来を起点に逆算する思考法になり、技術革新の激しい現代の事業戦略を立てる上で重要な思考法とされています。

そして、そこから未来年表を作成する作業を行うそうです。また、この未来年表はユルく設定することが重要だそうです。それは、議論に幅を持たせることができ、社内の保守派をかわすことにも繋がるそうです。

AIがビジョンや中計を作るようになるのか?

本書の終わりに、AIがビジョンや中計を作るようになるかについて言及されてました。

結論としては、全てではないがビックデータとAI解析で可能となる未来予測については、あり得る未来であると述べられています。そして、コンサルがマイAIを使いこなす時代を想定しているそうです。

しかし、だからと言って人が不要かというとそうではなく、人は経験や人脈を活かした活動を担い、「人間らしい」事業戦略を考案することになるとのこと。こうして作り上げられた事業戦略こそが社長や従業員が腹落ちした事業戦略になるとのことです。

後説

この私のサイトである「リベラルアーツへの道」も、本書籍に示されていた「スキャニングマテリアル」のようなものになっているハズです。

事業戦略とAIについては、セレンディピティ―的な要素をAIに組み込むことは難しいと考えていますので、サイエンス的なアイデアは出てこないのではないかと考えています。

しかし、ビジネスのアイデアであれば既存ビジネスの組み合わせとイノベーションをスパイスに加えた幾通りのパターンをシュミレーションすれば、確かにAIが事業戦略を策定することも可能であると考えます。

より詳しく知りたい方は、是非。

ホライゾンスキャニング(Horizon Scanning)とは?

また、本書で出てきたワードである「ホライゾンスキャニング(Horizon Scanning)」とは、効果的に技術革新や新サービスなどの情報(weak signals)を大量に収集し、そのビッグデータ解析し、非連続的な未来洞察する手法のことを示しています。

これは、モノごと深く追求していくスペシャリスト的な思考というよりも、モノの深さよりも表面を情報をより多く収集していくジェネラリスト的な思考という印象を持ちました。

また、このホライゾンスキャニングは、日本の医薬品医療機器総合機構であるPMDAを取り入れている思考だそうで、将来的にどのような革新的技術が出現るのかを網羅的に調査し、それが規制に及ぼす影響の評価し、革新的技術に対する適切な規制構築に役立てるために活用しているようです。

また、各々や各企業のオリジナルの解析手法を開発しているそうです。恐らくですが、これらはKnow-Howに近い感じもするので、これらの手法の詳細は市場には開示されないと考えています。